緑ノ刹那
『―――!?』


扉をくぐったその先に


フィリアはいた。


茨に覆われ


磔にされて。





『フィリ!!』


叫んだリーフの声にも反応せず、生きているのかさえもわからない。

そんなフィリアに、ディーンはそっと近づいた。

空中のフィリアに恍惚とした表情で語りかける。



『――フィリア。
フィリア・クルール・フイユ。
……やっと、君にまた会えた。
もう、あんな男になんか渡さない。
さぁ、目覚めて、僕を見て――』



フィリアの睫が震える。


そして。





その緑の双眸が、リーフとディーンを捉えた。
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