緑ノ刹那
綺麗な、とても綺麗な少女がいた。
風にたなびく黒髪に、ひときわ印象的な鮮やかな緑の瞳―――。


思わず、リーフは見とれた。


不意に、少女がリーフに気づいた。
刹那、見つめ合う。


少女は笑った。

(まるで花みたいだ)

ぼんやりとそう考える。



少女が近づいてきた。

『目が覚めたのね。
よかった。』
そう言って、目を細める。


『君は…?』


リーフがそう聞くと、少女は『あっ』と小さく呟いた。

『そう言われてみれば、名前を言って無かったのよね。
私はフィリア。
でも、そう呼ばれるのは好きじゃないから、フィリって呼んで。
あなたは?』


『僕はリーフ』


『そう、リーフっていうの。
あなた、川に流されて来たのよ。
一体どうしたの?』


いきなりの質問に、リーフは冷や汗をかいた。

("あのこと"はバレない方がいいな…)

『いや、ちょっと足をすべらせたんだ』

リーフの答えに、フィリアは数秒唸ってから、不思議そうに言った。


『何故嘘をつくの?』
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