緑ノ刹那
場所を移し、庭園内にある東屋でクルニの準備をする。



『さぁ、準備は整ったわね。
始めましょうか』


フィリアの一声で、勝負が始まった。

賽子を転がした結果、リーフが先攻となった。


『――フィリアは、ずっとあの森にいたの?』

駒を進めて、リーフは口火を切った。

それにフィリアは笑って、自らも駒を進めつつ応対する。


『そうよ。
私はあの場所で生まれて、あの場所で死ぬ運命にある。
だから、ずっとあそこにいた。

――クレイが来るまでは』


ピクリと、リーフの体が揺れる。
しかし、そんな事など無かったかのように、リーフは何とか平静を保った。


『初代とは、いつ会ったの?』


『私が生まれて、3千年たった頃』


リーフは思わず盤を見ていた目を上げた。


『君は…いつ生まれた?』


フィリアは悲しげに微笑んだ。


『このセカイが、完成したとき。

そして、このセカイが壊れる時が、私の死ぬとき』
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