緑ノ刹那
『クレイが君に何をした?
勝手に君を求めておきながら、どこぞの女と結ばれて。

一番赦せないのは、君に、自分の、トドメをささせた事だ!!

挙げ句の果てに、君をこんな場所に縛り付けて、子孫の面倒までみさせて!


どれだけ君を傷つければいいんだ!!






――フィリア、一緒に来てくれ。
僕は君に、そんな思いはさせない。
君を、絶対に傷つけさせない。


君を、此の世の全てから守ってみせる。
だから―――』


ディーンは、未だ拘束されたままの右手をフィリアに差し出した。
スルリと、草木の拘束が解ける。


ディーンの顔が幸福に輝き、リーフは結界の中から『駄目だ!!』と叫んだ。







ディーンの手を、フィリアは自らの両手で包み込んで。


フィリアは小さく言った。








『――駄目よ』
< 93 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop