ラストキス 〜運命と言う名の下で〜
僕は横たわったまま、恵の頬に懸命に手を伸ばした。

恵の頬に手をあてた時、僕の手には恵の涙がつたっていた。

何か言っているみたいだけど、僕には何も聞こえていない。

僕には恐怖や不安、痛みはなかった。だから、起き上がって恵を抱きしめてキスしたかった。

恵の頬にベッタリと血がついている。

この時、体はまったく動かなかった。

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