ユメクイ蟻
「これ、あたし・・・・描いた」
『思い出せましたか?』
「そう、この絵で金賞もらったの」
『そうですか』
「懐かしいな」
『ええ』
「・・でも、どうしてここにあるのかな」
『はい、実はここの館長さんが、
あなたの絵をコンクールで見つけられて
大変気に入られたようです』
「本当に??」
振り返ってケイさんを見ると
後ろの椅子に座ってあたしを見ていた。
『ふふ、知りませんでしたか』
「ぜんぜん」
「あの後、この絵がどこに行ったのか
ぜんぜん知らなかった」
『その頃のあなたの夢・・・』
「うん。絵の先生になりたかったよ」
自然に答えていた。
さっきまで苦しかったのに。