ユメクイ蟻

「これ、あたし・・・・描いた」


『思い出せましたか?』


「そう、この絵で金賞もらったの」


『そうですか』


「懐かしいな」


『ええ』







「・・でも、どうしてここにあるのかな」


『はい、実はここの館長さんが、
あなたの絵をコンクールで見つけられて
大変気に入られたようです』


「本当に??」


振り返ってケイさんを見ると
後ろの椅子に座ってあたしを見ていた。




『ふふ、知りませんでしたか』


「ぜんぜん」


「あの後、この絵がどこに行ったのか
ぜんぜん知らなかった」


『その頃のあなたの夢・・・』






「うん。絵の先生になりたかったよ」


自然に答えていた。
さっきまで苦しかったのに。



< 26 / 121 >

この作品をシェア

pagetop