ユメクイ蟻
『今は』
『今も変わらないんでしょう?』
と、出会った時と同じ
ニコちゃんマークの顔で
ケイさんは聞いてきた。
「・・・・」
「・・・絵を描くのが好きでした。
それは今でも変わらないです」
「人に教えてあげることも。」
「でも先生になるためには、
いい大学に行って、高い絵の具や
教材を買うんだって聞いて」
『そうですか』
「だんだん自信が無くなったんです」
「だから逃げたのかな」
『モモさん。もう一度絵を描きませんか?』
「絵を・・・?」
『それとも魔法で明日から
美術の先生にしましょうか?』
「無理無理!それが今の夢とは思えないし!」
「あくまで教師は昔の夢で--」
あたしがモゴモゴ言っていると
急に、ケイさんはあたしの手を握ってくれた。
あったかい、大きい手で。
『ね?描きましょう』
「下手でも笑わないでくださいね」
『ハイ』
ホント嬉しかった。