ユメクイ蟻
『僕はある病気で、死を覚悟しました。』
『最後の夜に、夢を見ました』
『自分の枕元に、まぶしい光が降りてきて
仕事をしたら、死ななくて良いというのです』
『僕は仕事をしますと言いました』
「死ななかったの?」
『まぁ、そうですね』
『でも人ではいられなくなってしまった』
ケイさんは窓の外に目をやっていた。
口元はあいかわらず微笑んでいたけど、
笑っているようには見えない。
「後悔してますか?」
「つらい仕事もあったんでしょう」
あたしは少しおしゃべりだったと思う。
でも、ケイさんは首を横に振って
あたしを見た。