ユメクイ蟻
ケイの心
『ケイお使いはちゃんと
できたんだよな?』
『失礼な。ちゃんと
買ってきましたよ!』
『さんきゅぅ♪』
二人のやり取りを
最初は笑顔で見ていたつもりだった。
でも、自然と笑えなくなっていた。
あたしがずっと
絵を描かなければ・・・
ケイさんは、この世から
いなくなるかもしれない。
でも、夢が叶ったとアタシ自身が
感じた瞬間。その瞬間に
ケイさんとはお別れになるんだ。
どっちにしたって
ずっと一緒になんていられないんだ・・・
そんな悲しさが
アタシをまた立ち止まらせる。
そうだいつもそう。
アタシの夢は食べられてしまう。
小さい頃に絵本で見た
ユメクイ蟻に食べられるの。