ユメクイ蟻


ケイさんは少し笑顔が崩れて
また口元だけでわらってる


「忘れないで」


『はい。この絵がある限り』



「お願い。」



『・・・・・・』





頭をなでていたケイさんの手は
あたしの背中を引き寄せていた。

まるでもう会えないことを
わかっているように、
二人とも抱きしめ合った。






耳元でケイさんが


『さようなら』



と本当に、本当に小さい声で言った。







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