S･63

幼少期

家族4人ｱﾊﾟｰﾄ暮らし


私は幼い頃はどちらかというとやや貧乏な家庭であった｡
私が生まれてから､小学校に上がるちょっと前まであるｱﾊﾟｰﾄに住んでいた｡
ｱﾊﾟｰﾄの中の様子の記憶はおぼろげだが､私と兄の幼い子供2人がいるおかげで押し入れの戸はぼろぼろ｡
そして昔撮った写真を見て苦笑してしまうくらいに常に物が散乱していて汚い部屋であった｡
1番ｲﾝﾊﾟｸﾄが強く､覚えている事は､壁である｡
今はあまり見掛けないと思うが､私の住んで居たｱﾊﾟｰﾄは砂壁だったのだ｡
その手触りが好きで､ひっかいてはぼろぼろとこぼれ落ちる感触を楽しんだものだ｡
狭いながらも二部屋はあったと思うがとてもおんぼろだったｱﾊﾟｰﾄ｡
狭いからこそ家族4人の距離が近く､間違いなく純粋な愛と笑顔で溢れていた｡
そこには忘れられない沢山の思い出がある｡