S・63
母のネーミングセンス
ザリ子
私の母は名前をつけるのが好きだ。
しかしネーミングセンスがない。
例えば野良猫に“ミケコちゃん”
とつけたり、クワガタを捕まえた時はオスかメスかもわからないのに“クワ男”と命名した。
ペットショップに売られていた、ブチが髭のようになっている猫にも“ひげやっこちゃん”
と意味不明な名前をつけたりしていた。
母の“名前つけたがり”
は昔からである。
ある晴れた日曜日、家族4人揃って近所の川に行き、ザリガニ取りを楽しんだ。
その川でとって飼う事にしたザリガニに母は“ザリ子”と勝手に名前をつけていた。