君の笑顔の傍に居させて
「あっ、俺? 昼間、君を助けたんだけど……もう出歩いてて、大丈夫なのか?」
俺はそう言いながら、彼女の隣りに座った。
あの時の彼女の表情が、一瞬、頭の中をかすめた。
──俺は君の心も助けたいんだよ──
思わず心の中でだけ、そう言ってみた。
彼女は一瞬、驚いた表情をしたが、急にわざわざ立ち上がって頭を下げた。
「昼間はどうもありがとうございました」
ああ、そう言えば、俊夫が『お礼が言いたいって言ってた』って、話してたな。