君の笑顔の傍に居させて
「私の名前、どうかしましたか?」

彼女が不思議そうに訊いた。


「えっ? いや」

思わず、曖昧に言葉を濁す。

そして、思い付きで言った。


「いや、おもしろいと思って」

「えっ?」

「だって、冬の雪見、でしょ?」


すると、彼女は何故か少しムキになって言った。


「言っておきますけど、東西南北の『東』に、野原の『野』……で、美しい雪、ですよ」
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