君の笑顔の傍に居させて
ここの施設は俺らが学生時代も使用してたので、勝手知ってるなんとやら、と言う感じだった。
「美雪ちゃんはいつも5時50分には鍵取りに来るから、その前に戻って来いよ」
「ああ」
俺は片手を上げてそう言い、当直室を出た。
よくよく考えてみれば、俊夫が誘ってなければ俺は今頃ここに居なかったし、彼女とも出会えなかった。
俊夫がここの責任者と言う立場じゃなかったら、俺もこんなに自由にさせて貰えなかった。
──サンキュー、俊夫。
面と向かっては言えないから、心の中で呟いた。