謝罪人 Kyouko
恭子が、客室を出ようとすると島田が現れた。

島田は、笑顔で恭子に握手を求めた。
恭子は島田と握手をした。

島田は、興奮した様子で感謝の言葉を述べた。
そして、大きな声で笑った。

恭子は複雑な気持ちだった。

この男は市長に返り咲き、また裏でいろいろな不正なことをするに違いない。
そう思うと、仕事の成功を素直には喜べなかった。

島田は、恭子に別れを告げて慌ただしく出て行った。

中居がタクシーを手配してくれた。

恭子がタクシーの後部席に乗り込もうとすると、中居が見送りにきた。

「これから選挙です。忙しくなるため選挙後に木村さんの所に伺いたいと思っています」
中居は、残りの支払いのことを恭子に告げた。

「わかりました」
恭子は、自分の気持ちと反するように作り笑いをして会釈をした。
















< 114 / 138 >

この作品をシェア

pagetop