謝罪人　Kyouko
恭子と松山は、駅の中に入った。

駅は、出入りの改札口と切符の販売機に待合いの椅子しかない小さな建物だった。

松山は、背もたれのある木製のベンチに座った。
　
「座らないのか？　」
松山は、黒のアクティブジャケットの外ポケットからタバコを取り出しながら、恭子に言った。

恭子は松山の横に座った。

松山は、ジャケットの内ポケットとジーズンの前ポケットに手を入れてライターを探す動作をした。
それを見た恭子は、手元にあるポーチからライターを取り出した。

「大丈夫だ」
松山がジーンズの後ろポケットにライターを見つけた。

松山は、タバコに火を点けて一口吸った。

「ありがとう」
恭子は、さりげなく言った。

「ありがとうって・・・？」
恭子の言葉に松山は不思議な顔をした。









< 116 / 138 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop