謝罪人　Kyouko
交差点近くで渋滞になった。
タクシーは徐行している。

「なかなかおもしろいことを言いますね」
中居は、呆れたように言った。

「どうして僕が、密告なんかしなければいけないんですか？　」
今度は、中居が冷ややかに聞いた。

「本当は、島田さんを市長にする気なんかなかったんでしょう？」
「・・・・・・」

「島田さんに市長を辞めてもらうために、私を利用したんでしょう？　」

恭子は、思いのままの疑問をぶつけた。

「どうして、そう思うんですか？　」
今度は、中居が聞いた。

「あなたは、あらかじめ今度の新市長のために、島田さんの市長退任を考えていたんじゃないんですか？」
恭子は、中居の心を探るように聞いた。

「あんなに、島田さんを市長にすることを望んでいたのに、どうして愛人問題が発覚した時は、もみ消すことができなかったのかしらん・・・」

恭子が中居の顔を見た。











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表紙・目次

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