謝罪人 Kyouko
「どうして、私が客のクーレム係をしていることを知っているんですか? 」
恭子は、男の茶化しに少しむかついたように聞いた。

「気を悪くしたら、すまない。僕は、ここ数日、あなたの仕事ぶりを見ていました」
男が弁解するように言った。

「ホステスが客の服に水割りをこぼして怒った時。酔った客が支払う金額が高いと文句を言った時。あなたは迅速に謝罪をして客に対応していた。それも謝罪した後は、客は何も文句を言わず許してくれる」

男とは初対面だった。
男が話したことは、ここ数日間の出来事だった。
どうして、知っているのか恭子は不思議だった。

「僕は、あなたは謝罪のプロだと思っています」

「謝罪のプロ・・・!? 」

「もし、良かったら、私の仕事を手伝ってもらえませんか? 」

「えっ!? 」

恭子は、男が一体何を言っているのかわからなかった。



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