謝罪人 Kyouko
その後、恭子は謝罪人の仕事を続けた。

子供のけんか、隣近所の苦情の処理など、どこにでもあるような、もめ事の仕事だった。

大抵は、双方が素直に謝れば解決できることなのに、お互いに顔を見て話すのを拒むため、恭子が必要とされた。


恭子が謝罪すると、相手は怒りの表情から柔らかい表情になってくる。
そして、険悪な相手のことを許す気持ちになる。


恭子は、自分のことがよく理解できなかった。
どうして、自分が謝罪をすると、相手は素直に許してくれるのか。

もともとあった自分の能力なのか、それとも誰かに、超能力のような不思議な力を与えられたのか。

考えてもわからなかった。






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