謝罪人 Kyouko
「久美をレイプした犯人は、今だに逮捕されていない。最近、またレイプ事件が多発しているから、そいつが久美をレイプした犯人じゃないかと思って、昨夜は見張っていたんだ」

久美は、松山の話で謎が解けた。
昨夜、松山に会ったのは偶然だった。
レイプ犯を見つけるためで、自分のことを探るためではないことがわかった。

「レイプ犯も許せないが、俺は、市職員採用で不正に関わった奴も許せない!」
松山の声が強い口調になった。


「久美のかわりに俺は、市職員採用のことを調べた。それで、わかったことがある。試験なんかしなくても採用される人間は決まっていたんだ」

「・・・・・・」

「採用された者の中には、市役所の中で有力な者達に便宜(べんぎ)を図っていたらしい」

「便宜って? 」

「つまり、採用試験を受ける者の親達が、有力者達に金を渡して頼みこんでいたんだ。その金は、島田市長にも流れているのは間違いない」

「・・・・・・・」

「無念だよ・・・」
松山がうつむいたまま、ボソリと言った。









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