謝罪人 Kyouko
「妹は何も知らずに採用試験のために必死に勉強をしていた。そんな姿を見てたから、妹のことを哀れに思うよ・・・」

「・・・・・・」

「記憶を失ったことで、レイプされたことも不正のことも憶えていないが、妹のために何とか、俺は市職員の不正採用を暴いてみせる。そうじゃなきゃ、真面目にやっている人間は浮かばれない」

松山は強い意志で言った。

「明日、市長の辞任会見がある。そこで、俺は、不正採用のことを島田に問い詰めてみようと思う」

「えっ!」
恭子は、松山が明日の会見の話に動揺して声を出した。
その態度を見て、松山は恭子をじっと見つめて考る。

「あんた・・・ひょっとして・・・」
松山が立ち上がって、恭子に近づく。

恭子は、松山に明日の会見に立ち会うことを気づかれた思った。





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