もしも僕に。


‥‥居た。


榎月はベンチに座りぐんにゃりしていた。

「何したの‥って、酒臭!」

よく見ると顔は赤く片手には生ビールを持っていた。

「はぁ‥もぅ。バカ」

電話のときはまだそうでもなかったのに。

「‥‥んぁあ?‥だれぇ?」

榎月はヒックと音を立てながら私を見上げた。

だ、だれぇ!?

「み、美雪だから!」

「へ?美雪‥?」

「そうだよ!」

「…………………………」

少しの沈黙。
そんな中、榎月が笑い出した。

「ぶっははは!!!ウソだぁ!美雪はそんなケバくないよぅ!!!」


あ。
私今化粧濃いんだった。

でもそんな変わるかな?
南桜は私だって分かってくれてたし。

……そうだ!
酔ってるからだ!

「バカだなぁ榎月。酔ってるからそう見えるだけだよ」


_
< 22 / 85 >

この作品をシェア

pagetop