もしも僕に。


…今日は12日だったな。
…放課後チョコ見てこよ。


「美雪、帰ろ」

「今行くー」

いつものように帰宅する。

普通だった。
何も変わらなかった。

でも…。

「みゆちゃん!」

え?

「南桜…?」

声のするほうには制服姿の南桜がいた。

「久しぶり!」

「あ、うん。久しぶり。南桜、最近来てなかったね」

私はいつも遠くで見てるから。
来てるか来てないかくらいすぐ分かる。

「あ〜‥忙しくてさ」

「そうなんだ」

南桜の視線から私が外された。
視線の先には榎月。

「はじめまして♪」

南桜が元気に挨拶する。

「‥‥あぁ」

うわ!無愛想!榎月、無愛想!

「俺、南桜!」

「…………………榎月」

いや〜、さすがにまずいかな。

「榎月っ」

私は肩をビシビシ叩いた。

「…ってー、んだよ。…行くぞ」

「ちょ!?ごめん南桜!またね!」

「バイバイみゆちゃん♪」

ごめんね、と付け足し足早に歩く榎月の所へ急ぐ。

「待ってよ…」

グッと袖を掴んだ。
榎月は歩くのを止め、振り返った。

「わり」

へ?頭をくしゃっとされまた歩き始める。




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