もしも僕に。


手はやっぱり繋いでて他人から見れば恋人同士かな、なんて思った。

今日だけ、デート…。
もう終わっちゃう。
なぜだか寂しい。
そう思うと右手に力が入った。

それに気付いた榎月は後ろを振り返る。

「あ、な、なんでもない…!」

あとから恥ずかしさが込み上げる。

「……あんまそういうことすんな」

やっぱイヤだったよね。
だったら手なんか繋ぎゃなきゃいいのに。

なんか逆にムカついてきた。

すると、榎月またクルッと振り返り「なに膨れてんの」と一言。

「……別に」

「なんだよ」

榎月は私のほっぺをひっぱった。

「い゙…」

「言え」

「ゔる゙しゃい…」

「…バカ」

スッとほっぺから手をはなした。

うぅー…痛かった。

くそぅ!えい!

私は後ろから榎月の足首を蹴った。

すると榎月はニコッと笑い私の頭をいつものように殴った。

「……痛い」




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