【完】ひとつ屋根の下で。
アタシはヒカルの手を強く握った。



「んっ……!」



すると、低いうめき声が聞こえ、刹那、アタシは突き飛ばされる。



「……ってぇ」



アタシは痛みの衝撃で、閉じた瞼を開く。



「嫌だ!来るな来るな!止めてくれ!!」



ヒカルの金切り声。泣き叫ぶ、壊れそうな、ヒカル。



「ヒカル!違うよ!何もしない!アタシは苺だ!」



叫び続けるヒカルを、アタシは力いっぱい抱きしめた。



「大丈夫。誰もアンタを傷付けない。守ってやるから……」



アタシが耳元で囁くと、震える腕が私を包む。



「いちご……いちご、いちご」



アタシを、求めるように、確かめるように囁くヒカル。



「そう、苺だよ。ヒカルの傍にいるのはアタシ」



ヒカルは自分に暗示をかけるかのように、ずっとアタシの名前を呟いていた。
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