【完】ひとつ屋根の下で。
ヒカルの体温の戻りつつある体は震え、助けを求めるように縋り付く腕と顔。



流れる涙が、アタシの着ているTシャツに広がる。



「アンタを傷つけるものは、ここにはない、何もない、から……」



アタシは上手く言葉が浮かばなくて、そう囁く。



過呼吸だったヒカルの息は、少しずつ正常さを取り戻す。



「ゴメン……この間から、わけわかんないよな。ホント」



「んーん、いいから」



ヒカルの背中をトントン、と叩くとアタシに巻き付く腕が頬に移って来た。



翡翠色の瞳と、真正面から向かい合う。



「苺……アンタに全て、話すよ」



真剣な瞳と声色。受け止めれる自信はないけど、辛さを半分分けてくれ。



一緒に、背負ってやるから。
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