【完】ひとつ屋根の下で。
だけど、なんだろ。この愛想のない顔、真っ直ぐ過ぎる黒目。



素っ気ないくせに心の真ん中を温めるような、言葉っていうか、音。



笑うと、わりと可愛い顔。



リスみたいにもぐもぐ食べる姿、ガキのくせに、年より臭いとこ。



自分でも歯止めが効かないくらい、俺にとって、苺は今までの女と違う、特別な人間になってた。



だからこそ、この過去は背負わせたくなかったし、腫れ物のように扱われるのが、怖かった。怖かったんだ。



だけど、ここまで迷惑かけて、怖がらせて、心配させて……。



苺に全てを話すべきなんじゃないか、と思った。



だけど、肝心な時に、言葉が詰まるんだ。



怖い、怖い、コワイ。



いつまで経っても、変われない、怖がりで臆病者の、俺。
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