【完】ひとつ屋根の下で。
「その悪夢のような時間は、三年間もの間続いた」



ここまでで、苺の顔をちらり、と覗くと、奥歯をギリギリ、と噛み締めて、小さな顔が歪んでいる。



やっぱり、ヘビー過ぎたか……。それでも、全部、話す。



「毎日犯され、噛み付かれ、俺の心は恐怖や悲しみ、憎悪や怒りが渦巻いて…。こんな心の拒絶反応から、いつからか俺は夜に眠れなくなっていた」



これが、俺の眠らない理由。



「毎日の地獄。3年間の積み重ねで俺の体は限界を迎えていた。……ある日、俺は父の目の前で倒れたんだ」



人の体はそれだけ、脆く、簡単に、朽ち果てる。



「それがきっかけで俺の寝不足、ストレスで出来た胃潰瘍、右肩の歯形を医師である父が発見した」



父は、あの時何を思っただろうか。



「俺から全ての話を聞いた父は、考え込み、何かを思い立ったかのような鋭いオーラを放った。俺は、父のあのオーラを、今でも忘れられない」



一生、忘れられない。
< 110 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop