【完】ひとつ屋根の下で。
「泣いちゃえよー」



「ヤダ。最近、アンタに泣き顔ばかりみせてるから」



ヒカルは、ふい、と顔を向こうに向けた。



必然的に、アタシの方にはヒカルの広い背中。



その背中に頭を乗せると、あったかい温度が流れる。



「ヒカル……アタシ達は、愛の証だよ」



そう、この世に生まれた人間は皆愛の証なんだ。



「苺、俺も、親父や母の愛の証なのだろうか?」



「そうだよ。アンタの母さんは命をかけてアンタを生んだ。アンタの親父さんは、命をかけてアンタを守った。それは、アンタが愛の証、だからだろ?」



そう思えるようになったのは、ヒカルのおかげ。



アタシが言うとヒカルはアタシの正面を向いて抱きしめた。
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