【完】ひとつ屋根の下で。
ヒカルは、穏やかな翡翠色の瞳をアタシに向ける。



「苺、ありがとう。アンタと出会えなかったら、一生こんな機会はなかった」



ヒカルの言葉に、アタシは首を横に振る。



「いや、アタシは何もしてない。隣でメソメソしてただけだ」



「ばーか。俺が泣かないように、代わりに泣いてくれてんだろ?自分で気付かないなんて、ホント馬鹿」



どこまでも透き通るようなその優しい瞳、声。



繋いだ手を離され、アタシの両頬をヒカルが掌で包み、そっと口づけをした。



それは一瞬で、永遠のよう。



抱きしめられ、アタシはもう少しだけヒカルの独特な匂いに抱かれていたい、と思い、瞼を閉じた。
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