【完】ひとつ屋根の下で。
「輝さん、貴方にもし直に会えたら、ずっと話したいと思ってたことが、ありました」



島本さんは疲れ切った、弱い声で続ける。



ヒカルはアタシの手を繋ぎ、後ろにぐっと引いた。



怒ってるような、怯えてるような、そんな雰囲気。



ヒカルが出すこの感情は、アタシには、痛い。何よりも、痛い。



「……良かったら、今から家にいらして下さい」



島本さんの言葉に、ヒカルは瞳をギラリ、と光らせる。



「……それは、俺にとって、メリットのある話?じゃなきゃ、聞いてやんない」



「それは分からないです。だけど価値のない話ではないはずです。きっと」



その言葉に、ヒカルは無言でただ彼女を見つめた。
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