【完】ひとつ屋根の下で。
「それで、話っていうのは?手っ取り早く話してくれない?」



ヒカルが、いかにも甘ったるいだろう紅茶の香りを楽しみながら聞いた。



「私の知っている真実は、姉が……菜々子がどんな想いで、輝さんに性的虐待をしてたか、です」



その言葉に、ヒカルがひゅっと喉を鳴らして息を呑んだ。



それはヒカルがずっと知りたくて、だけど怖くて、知りたくなかった、耳を塞ぎたい真実。



屋敷の窓の外が、果てしない闇に包まれるような、そんな気がした。



「輝さんも、貴女……苺、さんも私の話を聞いていて下さい。お願いします」



島本さんは、テーブルに置いた小さな手をギュッと強く握り、語り出した。
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