【完】ひとつ屋根の下で。
「私達姉妹は、輝さんの父の輝久さんに、二人して好意を抱いていました」
昔の話ですが、と島本さんは付け加え、続ける。
「彼は私達の幼なじみ。彼が姉と結婚したのは、姉が彼を庇って大きな傷を負ったから。長年愛していたんです。姉は喜んでいました。しかし輝久さんは愛する人がいた」
「それが、俺の母?」
ヒカルが、一旦島本さんの話を遮り尋ねた。
それに対し、彼女が深く頷く。
「そうです。貴方の母親、レベッカさん。彼が海外に医学を学びに出たときに出会ったそうです。写真でしか見たことないけど、とても、気品高く、美しい方。そして姉と結婚すると決まったとき、彼女は身篭っていた」
それは言わずとも、誰だと分かる。