【完】ひとつ屋根の下で。
「実際問題、もう、死んでんだ。言ったところで、生き返りゃしないよ。でも、義母さん亡き後、ヒカルのために、アンタにも出来たことがあるでしょ……?」



そう。ヒカルが何年も一人で戦い続けたトラウマが治ったかもしれないその行動。



「それは、アンタがヒカルを家族として愛することだ。アタシの言ってることはおかしいか?」



言った後、心から苦味が溢れ出ては心臓をじくじくさせる。



酷いことを言ってるのに、間違いはない。でも、自分が思ったことから、逃げたくない。逃げてほしく、ない。



島本さんはやせ細った手で顔を覆い、泣きじゃくる。



「分かっています!……だけど、姉が亡くなる原因の輝さんを温かく迎えられなかった」



嗚呼、アタシはこの人を傷付けてしまった。何よりも鋭利な言葉で。



島本さんは、ずっとヒカルを受け入れられなかった自分を責めていたのに。
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