【完】ひとつ屋根の下で。
休日の昼下がり。同じソファーでヒカルは難しい本を読み、アタシはテレビを見ている。



いつもの、何ら変わらない、日常。



ヒカルは何ヵ月も、ずーっとハマっているぬれせんをもしゃもしゃ。



醤油のなんとも言えない香ばしい香りがふわっと漂う。



「そういえば苺はさ、あんまり自分のこと、話さないよね」



ヒカルは本から目を離さないまま、アタシに言った。



そういえばそうかも。だけど、たいして話すこともないんだよね。



「アタシの人生なんか辺鄙なもんだよ。聞いたってつまんねーって」



「いーよ。それでもアンタのこと知りたい」



ヒカル、そういう言葉はアタシの方向いて言えよな。真実味が湧かないんだよ。
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