【完】ひとつ屋根の下で。
「アンタと一緒なら、この傷痕もいつか許せるかもね」



ヒカルが、その芸術品みたいに完璧だけど、穏やかな顔を近付け、額を合わせた。



「許さなくてもいいよ。アタシが傷痕をペンキで塗りつぶして隠してやるから」



「ペンキか……そしたら傷痕に染みるね。やだなあ」



「わがまま言ってんじゃねーよ。……もし塗りつぶすなら、ヒカルの目と同じ、翡翠色、だな」



クスクス笑うヒカル。離さない、繋いだ手。



ヒカルが優しく笑った顔は、凄く近くにある筈なのに、この世の物じゃないくらい美しい。



「ヒカル、愛しい。悔しいくらいアンタを愛してる」



これが今のアタシの、ストレートな気持ち。



声に出して伝えたいくらいに、愛してる。
< 168 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop