【完】ひとつ屋根の下で。
コツン、と重ね合わせたその額から、アタシの気持ちは、少しは伝わってるかな?



アタシにとって、ヒカルは、何もなかった土地に広がった、草原みたいな奴。



あったかくて、何故だか心地がいい存在。



「よし、なんか元気になった」



名残惜しそうに離れた、温かな額。



「さ、喉渇いたし、何か飲む?」



「じゃあアタシ、麦茶」



ってか、うちにはビールかチューハイか、麦茶しかないから決まってんじゃん。馬鹿ヒカル。



答えると、ひらひらと手を振ってキッチンに行ったヒカル。



日常から垣間見えてた、ヒカルの威圧感。



その大きな背中に、ずっと感じていた威圧感はなくなっていた。
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