【完】ひとつ屋根の下で。
ヒカルと過ごす時間は、温かくて、ずっと続けばいいと思えた。
上手くいかないときだって、まあ、あるかもしれないけど。
「あのさー、その不安そうな顔止めてよ」
「別に不安なんかないよ」
ホントは凄く不安。
この優しい時間は夢で、起きたら暗闇で、アタシは、その闇に食い殺されるんじゃないかと、思ってしまう。
「苺ってさ、嘘が下手くそ。周りの奴は気づかないかも知れないけど、アンタの表情のレパートリーなんか、たかが知れてるから」
ヒカルこそ、悪態ついてるようで優しいのバレバレだから。
「それは、お互い様じゃん」
アタシが答えると、ヒカルは何故だか嬉しそうに笑った。