【完】ひとつ屋根の下で。
マンションに戻ると、ちょうど紫苑さんに鉢合わせる。
「おー苺!早いな、サボりか?」
「紫苑さん、話があります」
紫苑さんは穏やかに笑い、アタシを食堂のテーブルに招いた。
アタシは、沖縄に帰るいきさつを話す。
「そうか、ヒカルに言わなくてもいいのか?」
「ハイ。……きっと、また出会える気がするから」
アタシが言うと、紫苑さんがよしよし、と頭を撫でてくる。
「またいつか、戻ってきな」
「ありがとう。紫苑さんもアタシにとって大切な家族だよ」
たった半年だったけど、貴方に出会えたこと、忘れない。
綺麗なのに力強くて、優しいオカン気質な、強い人。