【完】ひとつ屋根の下で。
碧く、碧く碧く、碧過ぎて、緑色に見える海。
白い砂浜に立てば、自然と漂う潮の香り。
耳を澄ませば、波の優しい音と……下手くそな三線の音。
「いちごぉ!おめぇが練習したって、上手くならないっで!」
「うっせー。ガキはおやつでも食って宿題してろ」
アタシの言葉に、ベーッと舌を出して施設に走っていく孤児院のガキ。
ヒカル、アタシは沖縄で元気にしてるよ。
アンタは元気?
おばぁが倒れて、バイトしながら孤児院を守り始めて、早いもんで2年。
もう夏も終わりに近づき、アタシはあの時のヒカルと、同い年になろうとしてる。
時間はどこにいても平等で、目まぐるしく、アタシを待っちゃくれない。