【完】ひとつ屋根の下で。
光が射し込むところ。
遠くで蝉の泣く声がする。
東京の蝉は、やたらといい子ちゃんだ。静かすぎて、少し寂しい。
沖縄から、再び東京に戻ってきたアタシは2年前とさほど変わらず、武安おじさんの会社で事務をして、休日はごろごろ。
「アンタ、友達いないわけ?だらしないね」
「うっせ」
同居人のヒカルとも、何も変わらない。割りとドラマみたいな迎えのしかたをされたはずなんだけど。変だな。
「ヒカルだってヘースケ達だけじゃん」
「俺には二人、アンタはぜーろー」
美術品みたいな顔立ちに、埋まった翡翠色の宝石みたいな瞳。
嗚呼……温かい。