【完】ひとつ屋根の下で。
とっとと準備を済ませ、麦茶を飲みながらぽーっとしてると、頭をぺしん、と、叩かれた。



「少しはおしゃれ出来ないわけ?」



「んー、まぁ、無理」



アタシの返事にヒカルはくくっ、と笑うと、アタシの腕を持ち上げて立たせる。



「まあ、いっか。ブラウスにスキニーとか、アンタらしすぎていいわ。行こう」



ヒカルだって、淡いピンクのカーディガンに、中は白いTシャツ、下はロールアップしたとこだけ水玉の柄の入った基本的にはシンプルなチノパン。



「アンタだってシンプルじゃね?」



「うっさい。早くいくよ」



……東京は、夏の終わりが近い、優しい匂い漂う9月の半ば。
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