【完】ひとつ屋根の下で。
最初はどうってこともない世間話だった。



武安おじさんが元気か、とか、会社の経済状況はどんなもんだ、とか。



アタシも、最初に感じた嫌な予感なんか忘れてた。



最悪の出来事が起きたのは、アタシが一度お手洗いに立って戻って来てから。



社長さんが頼んだ烏龍茶を口に含み、喉に通し話を聞いていた。



「……神尾君は、株には興味は無いのかな?」



「話を聞いてるうちに興味が沸いて……うっ!?」



気持ちが悪くなる。視界が霞み、アタシの握っていたお箸が、カラン、と転がる。



何……この、めまい。チカラ、入んねぇし。
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