【完】ひとつ屋根の下で。
霞み始めた視界に映ったのは、嫌な予感がした時のあの笑顔の社長。



「今日はまさか、会食だけで済むと思ったのかな?」



嗚呼…抵抗できない。多分アタシが席を立った隙に薬でも盛ったのだろう。犯罪じゃねえかよ。



でも、抵抗する力も、叫ぶ気力も全く起きない。ホントに力が入らないんだ。



こんなピンチの時、いいタイミングで助けに来てくれるなんて、ドラマや小説だけの話。



おじさんの、会社の、為に役に立ちたい。立ちたいんだ…。



力も抜けて、アタシはされるがまま、社長を受け入れた。



こんな時、逃げ切る術なんか知らない、と諦めて。
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