【完】ひとつ屋根の下で。
……どうやって帰って来たかは全く覚えてない。
気が付いたら部屋のドアの前にいて、腕時計を見ると時間は深夜2時を回ってた。
ドアを合鍵で開けると気持ちの悪い笑顔、感触、下半身の鈍痛。
背中に冷や汗が一筋流れて、ブツンと糸が切れた操り人形のように玄関に座り込んだ。
これが、腰が抜けるってことなのか。
「なんだよ、……はは。意味、わかんねーっての。弱っちいの」
立ち上がろうとしても手足が震え上がり、上手くできない。
しばらくその状態でいると無造作に開かれた部屋のドア。
ヒカルの部屋のドアだ。
シンプルな、柔らかそうな素材の七分丈袖に、ダボダボのジャージを履いたヒカル。