【完】ひとつ屋根の下で。
「アンタがそんなだと…調子狂うんだけど」



なんて無表情で言いながらアタシを持ち上げるヒカル。



いわゆる「お姫様抱っこ」ってやつ。



「なっ……何!?高いんだけど」



「何って、アンタ腰抜けてんじゃないの?」



ヒカルは表情一つ変えないですたすた、と歩き、アタシをリビングのソファーに優しく下ろす。



ヒカルってやっぱ、冷たいようで優しい奴なのかな、なんて、思えたり。



「ほら、飲めよ。えっと……」



「苺、だよ。神尾苺」



水を手渡しながらアタシの名前を聞いて噴き出すヒカル。



「……なんだよ。」



「苺って、アンタ、そのドライな性格で!アンタの性格的にしいたけとかのが合うんじゃん?」



しばらく一人でヒーヒー笑ってたヒカルを見てるうちになんかアタシも可笑しくなってきて。



「ぶははっ!」



気付いたら二人で笑ってた。
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