【完】ひとつ屋根の下で。
「それで、用事があったから来たんだろ?」



相変わらず、意味不明な本を読んだままのヒカルが言う。



「あっ!そうそう。今日は正式にこの三ツ葉荘の仲間になった苺の歓迎会をするから、夕方に一階の食堂に降りてきなさい」



紫苑さんはニッコリ微笑んで、アタシの頭を叩いた。初日みたいに、力は強め。



関係ないが、初めて会った時から思ってたけど、やっぱりこの人、わりと美人な人だ。



「さてぇ、歓迎会の買い物でもしてくっかな!」



紫苑さんは軽いあしどりで、まるで台風のように去って行く。



「はー、うるせーおばちゃんだな。あの人は」



「でも、いい人だ」



面倒見も良さそうだし、こんな良い物件を格安で貸してくれてるし。
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