【完】ひとつ屋根の下で。
「契約書下さい。敷金礼金なしでこんなにいい物件無いから」



「物件見なくてもいいのかい?」



「どうせ、ここより安いとこなんかないだろうし。人が住んでるなら、住める環境っしょ」



アタシは物件も見ることなく契約書にサインとハンコ。



「住む場所きーまり。即日入居ってことは、これで明日からは住めるのかな?」



アタシはそんな軽い気持ちからここに決めたのだ。




……しかし、このサインとハンコのおかげで



苦しくて、切なくて、甘くて、だけど酸っぱくて



愛しい気持ちに、出会うことになるなんて、この時のアタシには、知る由もなかった。
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