【完】ひとつ屋根の下で。


翌日、少ない自分の荷物の入ったボストンバッグとキャディーケースを握り、住所のメモを頼りに物件へ向かう。



「あ、ここだ」



アタシはそれらしき建物の前で立ち止まる。



マンション……というには小さな建物。



少し老朽化はしているものの、抹茶プリンみたいな色の壁に、チョコレート色の屋根、窓に付いてる鉄柵なんかアンティークな感じで可愛い、と感じる。


アタシはその建物の中へ、一歩足を踏み入れる。



「あら、アンタ見ない顔だねえ。って、昨日契約しちゃった新しい犠牲者?」



後ろから女の人の声が聞こえ、アタシは振り返る。



犠牲者、という言葉が引っ掛かるけど、何?
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